発達障がいと支援のためのブログ

発達障害を持つこどもについて学び支援するためのページです

発達障がいって何?

先日(H29.3月)発達障害等についての専門家向けの講習を聞いてきました。なるべく新しい情報を発信していきたいと思います。記述不足・理解不足ありましたらご容赦くださいませ。


発達障がいとは何か?ですが、発達障がい者支援法(第2条)では次のように定義されています。「自閉症・アスペルガー症候群・その他の広汎性発達障がい、学習障がい、注意欠陥多動性障がいその他これに類する脳機能障がいであって、その症状が通常低年齢において発現するもの」
要するに低年齢期に出てくる脳機能障がいということです。アスペルガー症候群と広汎性発達障がい知的な遅れを伴わない特徴があります。学習障がいはLD、注意欠陥多動性障害はAD/HDとよく言われます。いづれも英語読みの頭文字をとったものです。


自閉症スペクトラム障がい


自閉症には知的障害を伴わない高機能自閉症・アスペルガー障がい(まとめて自閉症スペクトラム障がい ASD)と知的障害を伴うものとに分かれます。


かつては知的障害を伴わないものを軽度発達障害などと呼んでいましたが、いまはその用語はあまり聞かなくなりました。


高機能自閉症は3歳までにあらわれ、社会的関係形成の困難、言葉の発達の遅れ、特定のものにこだわりという特徴があります。


視覚・空間能力が高くパズルを解いたりするのが得意だったりします。アスペルガー障がいの人は言葉の遅れがほとんどありませんが、視覚的処理が弱い傾向にあり、文字を書くのが苦手な人が多いようです。知的障害がないので、普通に見えますが、目に見えない人の気持ちを読み取るだとか話してはいけない雰囲気でもおしゃべりし続けるなど、悪気なくしてしまうため、変わってるとかわがままとか思われがちです。本人が一番困っているのです


支援者はこれらの子に対しては社会性の育成を第一優先にし、事細かく具体的にソーシャルスキルを教えていくのが良いそうです。ソーシャルスキルトレーニングという言葉で検索するといろいろな本が出てきますので、それらを参考に支援していくのも一つの方法です。


また適切に褒めて成功体験を積ませ、自己肯定感を高めてあげるのが支援者の役割です。
(知的障害を伴う自閉症については別項目で記載します。)



ADHD Attention-Deficit-Hyperactivity-Disorder


 注意欠陥多動性障害と一般的には呼ばれているが、欠陥や障害という言葉を使わずに注意欠如・多動症という呼び方も医学界ではされています。


定義づけとしては、「年齢あるいは発達に不釣り合いな注意力および/または衝動性、多動性を特徴とする行動の障がいで、社会的な活動や学業に支障をきたすものである。


また、7歳以前(医学界では12歳以前)に表れ、その症状が継続し、中枢神経系※1に何らかの要因による機能不全があると推定される。」です。


および/またはとなっているのは、不注意だけど多動はないという人もあれば、不注意も多動も衝動性もあるという人もいるということでそのような記述になっています。


傾向としては不注意優勢タイプは女子に多く、多動・衝動優勢タイプは男子に多いのですが、不注意優勢タイプは目立ちにくいので発見されにくいケースもあるようです。



その他発達性協調運動障がい、
学習障がい(LD)には、算数障害・読み書き障がい・言語障害といった種類があることについては、後日追記します。

ことばと障がい

言語理解と支援


 言葉が出ないのは単に知的な問題だとばかり思っていたら、同年齢の仲間たちは何らかの発語がてでいるのに、おかしい?なんで?っと不安な月日をすごしたどり着いたら自閉症だったというのが、うちの子の例にあります。自閉症はコミュニケーション障害もあるので、あまりことばを使おうとしてくれません。こちらからの働きかけは通じているのですが、全く無反応の時もあります。そんなとき、絵カードやサインなど視覚支援をプラスすると座っていてもスッと立って動くなどの反応があり、よりよく通じているようです。
言葉が出ない、発語がないといっても全く無いわけではなく、ことばのような発語(ジャーゴン)はあります。「かかか」「だだだ」といったなん語もあります。ただ「りんご」や「くつ」っといった意味のある単語を音声ではっきり話すことがまだできないのです。言葉が出ていないと何もわかっていないと他者にはおもわれがちです。ところが「食べ終わったお皿もっていって」などと伝えると、こちらの指示を聞いて動くことができるので、何もわかっていないわけでは決してありません。指示を聞いて動けるのは、言葉を理解しているからです。つまり理解言語は持っているのです。


 私たちが習ったこともない言葉を使う国に旅行に行くとします。アラビアでもロシアでもいいです。駅での視覚的サインや人の表情、現物(電車とか靴とか)はたぶんわかります。でも、駅の売店で飴を買いたいとしても、形状が細長かったり、カラフルだったり、袋詰めだったりするだけで、写真がなく文字だけの情報だと、それは何なのかわからない。店員に聞こうとしても言葉が通じない。困ります。おそらく言葉をうまく使えない人にはこんな困りごとがあるんだろうと思います。だけど仮に袋に飴の写真かイラストか何かがついていたら、よりわかりやすいですよね。支援ってそういうことだと思います。
視覚支援ツールはいろいろありますので、インターネットで探すとでてきます。おすすめは: 視覚支援シンボル集「ドロップス」
です。かわいいイラスト、物の名前や動きなど多種多様なカードが無料で使えます。

 

幼稚園 ねこ 靴をはく

ダウン症のこどもの身体

ここではダウン症の子をもつお母さんが、経験をもとに子どもの健康について書いています。参考として読んでいただければ幸いです。🍄🍄🍄




🍄赤ちゃん体操
赤ちゃん体操が普及しています。私も子どもをベビーカーにのせて、電車で赤ちゃん塚口病院に通いました。通いながらも効果を実感できないまま、一歳あたりで終ったという経験があります。
私にとって何がプラスになったかというと、子どもへの施術そのものよりも、その場へいっていろいろな子どもや親をみることで、同じ障害をもつ子どもがこんなにたくさんいることを確認することで、孤独感がすこし和らぐといった心理面がプラスになったように思えます。当時はまだ藤田先生(赤ちゃん体操の著者)が現場にいらして、診察など(甲状腺や眼振チェックなど直接していただきました)をしてもらいました。


 赤ちゃん体操は基本的に、自宅で親(主に母親)が自分の子どもにするもので、月に一回塚口病院に通うのですが、そこでは一ヶ月間の出来と次のプログラムに進めるかのチエック、そして施術の仕方を教わるといったことがメインになっていたようにおもいます。私はというと、前述したように即効感が感じられなかったため、全く真剣に取り組んでおらず、まるでピアノをおけいこをレッスン日の一日前にあわててやるといった様子でした。今考えると、もったいないことだと思います。というのも、赤ちゃん体操は第一に皮膚刺激をいれることで、脳への感覚入力ができる。関節各部を動かしてあげることで、低緊張で自分では力が無いため動けない関節に刺激を与えることが出来ること、また、身体各部をひねるなどして肋骨の間の筋肉を伸ばすことでよい効果があるからです。ダウン症の赤ちゃんは、新生児からねていることが多いです。うちの子もひたすら寝てばかりいて、息をしているのか心配になるくらい長時間眠っていました。手が掛からなくて助かるなあとか、呑気なことを思っていました。が、そうして寝てばかりいると、外界からの刺激がないため、見たり聞いたりといった五感を使っていないし、寝返りもしないので仰向き寝を続けることで肋骨の間の筋肉が固まります。そうすると骨格の成長が促進されにくくなることや、筋肉が硬くなると深い呼吸ができず気管支炎や肺炎になりやすくなるそうです。また、たくさん息を吸い込むことができないことで、おしゃべりする場合も長い文がいえないといった将来への不安もあります。ですから、眠ったまま放っておくのが、よいこととはいえないようです。

赤ちゃん体操の塚口病院では、単に体操するだけでなく、眼振や斜視などチェックもありました。そこで心配になったのが聴力でした。聞こえ反応がにぶかったので、脳幹刺激聴覚検査(ABR)をうけることになりました。それは入眠薬シロップを飲んで、すっかり眠った状態で脳波を測定し、脳波によって聞こえのテストをするというものでした。検査の結果、ジェット機の音が聞こえない程の重度の難聴と判定されました。ダウン症という障害だけでなく、難聴まであることがわかった日の病院ロビーで会計を待つ間、視界がどんより暗くなり、わたしの目は焦点をあわせないままただ床の模様を見つめていました。


しかしただ嘆いていても仕方ない。今できる事は何か?を考えるべきだと思い難聴児への療育を探し、ぴょんぴょん教室へ通い始めました。(ぴょんぴょん教室は大阪府肢体不自由児協会が難聴乳幼児早期療育事業として展開している教室で府下5ヶ所あります)そこには同じくダウン症の男の子もいて、共感し、勇気付けられたことを思い出します。教室では補聴器のつけ方や手話の練習、絵カードなど視覚支援の仕方や聴覚訓練などいろいろなことを楽しくアットホームな感じで学ぶことが出来ました。その教室に月一回通いながら、大阪市総合医療センターで定期的にBOA やCORといった聴覚検査をうけました。そんなことが2年ぐらい続き、家庭内ではなんとなく聞こえてるのではないかという反応が見られて始め、医療センターでの聴覚検査でもしだいに好結果が出始めました。高度難聴は改善された?始めから重度などではなく、単に発育が不十分だったため反応が弱かっただけだった?よくわかりません。とはいえ今でも中程度の難聴ではありますが、比較的日常生活では困らないのか、まだ良く聞こえていないのか。反応の鈍さは知的障害ゆえか、聴覚障害によるものかよくわかりませんが、単に無視しているときもあります。
ここで書きたかったことは、この体験を下に気をつけてほしいからです。乳幼児期に新生児スクリーニングとして聴覚検査が普及していますが、そのABR検査で高度難聴と診断されるのは比較的高頻度にあり、年齢があがるにつれ正常値になる例がけっこうあるということです。早まって人工内耳手術をしてしまってから、高度難聴ではなかったという例もきいたことがあり、早まった判断は取り返しの付かない結果にいたることもあるというわけです。


聴覚に問題があると言語獲得の時期が遅れるという心配もあるのですが、ダウン症のこどもの場合知的障害も併せ持っています。また、中耳炎に高頻度でかかりやすいこともあります。補聴器の装着なら、不要になればつけなければいいわけですが、人工内耳になると脳に電極を埋めるわけで、不要だから取るというわけにはいかなくなるのです。ダウン症児の難聴判断は、ある程度ゆっくりの判断でもよいのかなと個人的には思います。
平成29年現在では、人工内耳はかなり普及し、技術も発展しているので、しっかりと医師や専門家と相談の上お子さんの将来によりベストな選択をしてあげたいですね。


目について
ダウン症児の目のケアとして眼振チェックや斜視をみてあげること。眼振の有無で先天性白内障が発見できることがあるそうです。視力は自己申告制でする検査なので、こどもの場合低年齢すぎたり、自己申告が出来ない場合検査が困難になります。うちの子はいま11歳ですが、いまだに一般的なランドルト管(わっかの一部が切れている図)を使用した検査は出来ず、絵のマッチングによって大体の視力を測る検査もできず、縞模様を見る検査でもはっきりその柄を見ないため視力が不確定のまま今にいたっています。日常的に物にぶつかるとかいうこともないので、放っておいています。めがねをかける子どもが多い様子をみると、ダウン症の子どもには視力に関して問題がある場合がおおいと思われます。


ことばについて
言語の獲得には、健常児でも体格に個人差があるように、ダウン症児にも個人差があります。聴覚障害があったり、口腔内に問題がある場合、知的発達の差などのよって、内言語が表出言語となって現れる時期はさまざまです。内言語とは心の中のことばです。聞いて理解することは出来ているようだが、話すことが出来ないという場合は、内言語はあるが、表出が未発達というわけです。
ダウン症は舌が大きいといわれているようですが、下が大きいのではなく口が小さいので、舌が口の中に納まりにくいというのが正しいようです。しかし、舌が飛び出しているダウン症の子どもや成人を見たことがないため、それほど問題を抱えている人は少ないような気がします。生まれつき低緊張なので、口が揺るんで、半開きにしていたりしていることから、舌がでてしまうのかもしれません。退屈しのぎに舌をゆびでつついたら、本人にとって快刺激となり、癖になって遊んでしまうこともあるのですが、それがかっこよいものでないことを伝えると自分でやめるそうです。


舌が上手に動かせずに言葉が出ても、聞き取ってもらえず理解されにくい発音になる場合もあります。マイクをもって一生懸命人前でしゃべるのですが、聞いている人に内容が伝わらずその子のお母さんが「通訳します」っといって内容を言い直してくれてようやく皆理解したというシーンの経験がありますが、その人は発音が悪いだけであって、しっかり言語を獲得してるんだなあと思います。


発音つまり構音といって正しい発音を口の中で作る作業が不得意なんですが、その原因は舌の動かし方が上手ではないことや、あごのずれ、口唇が閉じづらいということがあります。また、語尾や語頭しか言わないか(いえない)こともあります。長い単語は覚えきれない、記憶にとどめるのが難しいということや、それが出来ても口の中で次々の音を作る構音力が弱いのです。練習すればいづれはできるのでしょうが、何より本人が出来るようになりたいと思わないと、親が一方的に訓練に連れて行ってもこどもにはありがためいわくかもしれません。本人の伝えたいという気持ちがあってはじめてコミュニケーションは芽生えます。モチベーションが大事ですね。


その他
足のつめが割れやすいです。つめにまで栄養がいきわたっていかないの?っと疑います。手指のつめも二枚爪になったりしますが、足は靴を履くことと、その人自身の体重がかかっていることが手ゆびと違います。
気をつけたいのはキツイ靴を履かせないことです。血行が悪くなり、疲れやすくなります。靴の中で足指がしっかり広がる大きさが必要です。


また、冷え性です。血行がわるくて、皮膚が乾燥しやすく、唇が割れる場合は要注意です。冷たい空気に弱い傾向があります。お腹やおでこが温かくて、手足の先が冷たい場合の脳のセンサーは自分は温かいと感じるそうです。末端が冷えていることに気が付きにくいため、たとえば冬でも布団から這い出て、おでこをつめたい床につけて冷やしているそうです。もともと体温が低めの傾向があるので、冷えには注意が要るようです。
新生児期のてんかんに注意です。未発達のまま生まれてきているので、直るらしいですが、気をつけて観察すればわかるそうです。その他心臓や頚椎の検査も欠かせないです。いろいろ心配すれば限りがありません。