発達障がいと支援のためのブログ

発達障害を持つこどもについて学び支援するためのページです

親なき後のわが子のお金事情

本を読んだ。


障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本
司法書士法人ソレイユ代表 杉谷紀子監修
一般社団法人日本相続知財センター本部専務理事 鹿内幸四郎著


ダウン症の娘を持つ「相続のプロ」が明かす財産管理のしくみ


改訂新版 障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本: ダウン症の娘をもつ「相続のプロ」が明かす財産管理のしくみ
改訂新版 障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本: ダウン症の娘をもつ「相続のプロ」が明かす財産管理のしくみ
大和出版





子どものためのお金の管理は成人前からせよ


18歳までにしておくべきこと

  • 本人名義の銀行口座作成 2つから3つ
  • マイナンバーカード作成


すでに口座がある場合、成人以降本人が出し入れするのが原則となる。
キャッシュカード番号も口座名義人がきめるのが基本
それができない人は成年後見人をつけなさいというわけである。


私は焦った。わが子のためにと思って貯めていた銀行預金にはキャッシュカードがない。キャッシュカードが作れるか窓口でたずねた。本人が来て暗証番号をきめてもらえばすぐできるという。(無理やん!数字の概念ないもん)



本にもどろう
成人以後でも
 生命保険信託(保護者の死亡時に信託銀行から子どもに毎月一定額が支払われるしくみ)
 任意後見契約(親が認知症になったり死亡した時の備え)
 財産管理等委任契約(任意代理契約とも。)
 尊厳死宣言(親が延命治療をうけ、子の財を削らないように)
 死後事務委任契約(親の死亡後の事務処理)
 遺贈寄付(子の死後残った財産を社会のために寄付する)
などいろいろ配慮しておくことがあるという




成年後見制度で財産が減る?
判断能力が低下した高齢者などの財産等を保護する目的のもの。
被後見人(認知や障害の人)の通帳や印鑑、不動産の権利証などを管理する。


後見人は2種類 「任意後見人」と「法定後見人」


任意後見人は18歳の前なら家族が決められる
成人に達すると家族の希望の後見人がいても対象となるとはかぎらない。
法定後見人家庭裁判所が一方的に決めるのだ。


そして、一度決まると変えられない。
さらに一年に一度報酬の支払いが生じる


報酬は本人の財産額が一千万未満なら月額2万、年間24万円
10年で240万、30歳から頼んで80歳までとすると50年間なので
親が子供のためを思って貯めたお金は後見人報酬に1200万も消えることになる。認知症の親は先が短いが障害を持つ子どもが生涯払う報酬は老人のそれとは額も期間も桁違いである。




報酬費用は被後見人の保有財産の額や種類(多数不動産を持っている)など難易度や地域も関わる。


なお、報酬費用が払えない場合は市区町村単位で助成事業がある
成年後見制度利用支援事業という。



後見人には、はずれがあるらしい。





はずれの人にあたると、めったに本人を見に来ない支出の手間を面倒がり本人の希望を聞かない人がいるそうだ。



要はライブに行きたいから臨時お小遣いだしてほしいといっても、煉獄さんのハッピ買いたいからといっても、セブンスピローほしいといっても「それ、贅沢品ですね」といわれるのか?(誰のお金や?)


なのにチャッカリと障害の子のために親が残した不動産を勝手に売却して、財産額を増やし自分への報酬額を増やそうとする人などもあるそうだから恐ろしい。



法律専門家なので絶対に違法にならず、報酬をふやすわけである。仮面の下は見えないぞ!
ここで私は強く思った!頼む側に選択権も与えられず、報酬は必ず取られるというこの仕組み!おかしくないか?

報酬は必要だろうけど、頼む側が「この人嫌です。この人はいいです」とか言えないのは、自己決定権をはじめからないものとして扱っている。
障害が重くても軽くても、自分のことは自分で決める権利がある!



ここまで調べてみて、子どもに財産を残しすぎることは得策ではないとわかった。
本書でも子どもに500万以上は残すなと書いてある。



財産がない人は後見人は不要なのか?
これまで、財産がある立場を見てきたが、逆に被後見人に財産がなくて報酬も払えない場合はどうなるのか?財産がなくても年金が入ってきたら、親亡き後は誰が管理する?


報酬費用が払えない場合は市区町村単位で助成事業がある
成年後見制度利用支援事業という。


高齢者対象と障害者対象で窓口が異なる、まずは問い合わせ。
法定後見人を家庭裁判所に依頼する時も費用が発生するが、それも助成対象になるので早めにチェック


お金問題 事例
40代男性、震災後引きこもり精神疾患
両親が管理していた自宅の住宅ローンが支払えず競売
生活費も借金
親類が相談支援員に連絡


法テラスに連絡し弁護士とつながる
市役所障害福祉課が動く
自己破産認定
手帳交付、障害年金申請などの援助


このような事例をみると、社会は完全に困っている人を放置したりはしない。
社会保障制度を正しく知って、親のいるうちにできるだけのことはしておこう。


それにはまず、情報収集!本や知人、親の会などで話題にしましょうよ。みんな同じ悩みを持っているはずですよね。


ここまで読んでくださりありがとうございました。本の内容と筆者の主張が入り混じってますが、一度本を読んでみられるとよいと思います。図書館でも借りられます。

支援学校高等部を卒業して

この3月8日12年間通った支援学校を卒業しました。
進路先は3年生の6月ごろの体験実習で決まっていましたが、
そこから夏が過ぎ、秋と冬を越した今、息子は新しい進路先を
覚えているのでしょうか?


何せ学校へ行くという行為は小学部から12年続けてきたことです。
長い春休みを開けたらまた、通学バスに乗って学校へ行くのだということが体に染みついていることでしょう。


不安です。


そんな中、進路先の生活介護事業所でケース会議をしました。
ケース会議とは関係各所が集まって、障害のある子どもについての
支援について話し合う会議のことです。今回はその様子をお伝えしてみます。


保護者、支援学校の先生、児童デイの担当者、ヘルパー派遣の管理者、
相談支援員、進路先(生活介護事業所の管理者)と担当者2名の8名で行いました。
場所は学校で行う場合もありますが、今日は事業所で行いました。


学校からは個別の支援移行計画という高等部三年で渡される資料が配布され
相談支援員からは、サービス等利用計画という書類が配布されました。


引継ぎが目的なので学校から順番に生活にかかわる情報(排泄、食事、更衣、移動など)
やコミュニケーション方法、好きなこと
などが引き継がれました。


息子の場合は重度知的障害なので、学習面などの引継ぎはありませんが軽度のお子さんだと
たとえば漢字が読めるとか、お釣りの計算ができるとか言った情報も出るかと思います


児童デイからは保育中(幼児でなくても福祉の世界ではこの用語を使う)に困らされたことをこれでもかと引き継いでいただきました。例えば


雨の日に長靴を投げ飛ばしてはだしで走り出す
車で移動中前列の子や大人の首に爪をたてる
車の窓をバンバンたたく。シートをめくったりトランクにはいりこんだりする
食事ではほかの人の食事に指をつっこむ
5分に一回、手を差し出してきて手の甲にタッチをせがむ
トイレットペーパーをホルダから出し、便器に投げ入れる
などなどでした。


数えきれないほどの行動障害をあげつらわれて
引継ぎという名目ではあるが、母にとってはこれまでの被害を訴えられているようで
裁判の被告席に座っている気分になりました。


障害ゆえの何らかのコミュニケーションの一環としての息子の行動を
悪のように言われているのをただ聞いているのはあまりにも悔しいので
「これまでの被害全部ぶちまけてるね」っといいかえしはしましたが
なんだかもやもやです。


強度行動障害の息子を持つ母の悲哀です。


ま、事業所担当者の表現方法も様々あってよいわけでして、
少し歯に衣着せて伝えてくださるヘルパー派遣事業所もあり
ありがたいながら、まずは各々担当者から進路先担当への引継ぎがおわりました。


今後送迎の時間や場所の詳細やら、持ち物や実際の活動内容などが
打ち合わされて、お開きとなりました。


忙しい中、息子だけのために8人もの大人が1時間以上も集まって支援の相談をしていただけたことは、母として感謝であり、不安も少しだけ溶けた気がしました。

障害児の親一番の悩みとは

障害児をもっている親が持つ悩みは数多くあります。
筆者はダウン症のある子どもを育ててきました。
わが子は18歳で公立の支援学校高等部3年生です。


たびたび悩んできたのは、進路についてです。
普通の子ならある程度成長すれば本人が決めていく問題ですが、
障害を持つ子の親は進路について大きく関わることになります。


保育園や療育園に通っていた時期は、地元の小学校か、支援学校かで悩みました。
小学校は6年間と長いので、成長の差は著しいものです。


中学校から支援学校に行く人や高等部だけ支援学校に行く人なども多くいます。
見学して、悩んで、わが子の成長にとってどちらの道が望ましいのか比べました


二つに分かれた道でも選べるのは一つだけです。
そして、その道が正しかったのか。もう一つの道に行っていたらどうなっていたのか
ときには振り向いて考えたりします。


でも、失敗だったとしても、やり直すことはできません。
これは試すことのできない賭けに近いものがあります。


そもそも現行の教育制度は、一度支援学校に行ったら、途中で変えることはできない
その逆もしかりとなっています。(引っ越ししたらできるのかもしれませんが)


わが子の最善を願って選ぶ進路なのに、やり直しがきかないのはおかしいのではないかと思いましたが、教育(=聖域)に口出ししても吹き飛ばされるだけです。


大抵の障害を持つ子は障害の程度の差こそあれ、支援学校高等部にたどり着きます。
卒業してからどうなるのでしょうか


  • 障碍者雇用もすすめられているので、比較的大手の会社に就労する人
  • 就労移行支援事業所に行く人
  • 職業訓練校(能力開発校)に行く
  • 人生活介護事業所に行く人


さまざまに分かれますが、半数以上が生活介護に行くようです。
そこでは利用者の実態に応じて、生活の支援をしてくれます。


事業所によって対応はさまざま、まるで塾を選ぶ時のように特徴がありほんとに何が真実で何に焦点を当てて選んでいいのか手探りでした。


わが子は3月で支援学校を卒業します。
遠方の学校には通学バスで行くので朝は8時前から出かけます。
帰りは通学バス4時に降りてそこから放課後デイを利用して6時まで過ごして帰ってきます。


卒業した翌日から長きにわたって続けてきたその生活リズムは一気に変わります
4月からは知り合いもない、と異年齢の小集団のなかで過ごす場所に通うことになります。


高校を卒業すると、健常者たちに何割かは大学にいきます。
知り合いもない場所に通う不安は健常者も障碍者も同じでしょう。


でも、健常者は志望した学校に行くのです。自ら選んでそこにいくのです。
ところが障害のある人たちは親が決めた場所に、わからないまま放りこまれるのです。


目隠しして乗り物に乗せられ、目隠しをとったら全く知らない場所
はい、あなたは今日からここで一日過ごしてくださいね。仕事もありますよ。っといわれたらどんな感情になるのでしょう。


どう気持ちが揺れるのか、波打つのか、嵐になるのか


わが子の気持ちを想像すると不安ではあるが、徐々に徐々にそこで楽しみを見つけてほしいと切に願う気持ちであります。